俺がやらなきゃいけないんだ


 パスポートの最初のページは自国の出国印。あれから今日まで、いろんなところに出入りした。たくさんの印を押してきた。世界を見て、様々な価値観を知った。
 信じる神の為に争いをやめない国、どこにも属さず強くあろうとする故に孤独な街、弔いの為にランタンを灯し続ける死者の街、焼け落ちてもなお生きたいと願う島……人々が皆、様々な理由でそれぞれの正義を貫く為に戦いを続けている。
 そして塔亜もまた、戦う為に旅をしてきた。
「こんなのばっかりだ」
 パスポートをめくって吐き捨てる。そのまま放り投げようとして、騎左に止められた。
「だから俺たちは戦うんだ」
 分かっている。
 世界を止める為。
 二人の旅は、まだ終わらない。



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